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映画感想レビュー「永い言い訳」評価ネタバレ注意『あえてのミスリードなのかと疑うくらい、素晴らしいキャッチコピーでした』。 #MOVIE

永い言い訳/最後に紡ぐ言葉にすべてが詰まった映画

※ネタばれ注意
最後に幸夫(大木)が書きなぐる「人生は他者だ」という言葉、この一言にすべてが詰まっている映画でした。
「妻が死んだ。これっぽっちも泣けなかった。そこから愛し始めた。」というキャッチコピーを見て、「死んでから気が付く本当の愛」とか、そういった類のありきたりな映画かと思いこんだまま見たらまったくの見当違い。これはあえてのミスリードなのかと疑うくらい、素晴らしいキャッチコピーでした。
幸夫と妻の夏子(深津)の関係はすでに冷え切っており、夏子が事故で亡くなった際も他の女と寝ている最中だった。はじめは自分の体裁ばかりを気にしていた幸夫だが、妻の親友家族である対照的な大宮家を見て、触れて、そこで初めて愛を知る。ここでキャッチコピーの「そこから愛し始めた」につながります。
そう、「冷え切っていた夫婦仲、亡くなった後に改めて妻を愛した」ではなく、「妻を亡くして初めて、他人と触れ、他人を愛する事を知った」のでした。(もちろん妻に対する愛も含む)
最後、電車の中で幸夫は大宮家の長男と二人で話すシーンがあります。それは、きっと、自分がずっと思っていた事、ずっと後悔していた事。長男に言い聞かせているようにみせかけて、実は自分自身に言い聞かせているのだと思いました。そして長男と別れおもむろに書き始める、「人生は他者だ」という言葉。大宮家と触れる事で愛を知り家族を知り、そこでようやく「人が生きる理由は、他人の中に生きていくこと」という答えを出すのでした。
人は自分以外の他者のために生きている。他人がいるから頑張れる事、たくさんありますよね。守るものがあるってとても素敵だと改めて感じさせてくれる最高に感動できる、いい意味で重い映画でした。