東京医科大学の裏口入学問題が関心を集めています。「不公平だ！」「一般の受験生が可愛そうだ！」と裏口入学の是非に論点が行きがちですが、私はこの事件の本質はそこではないと思っています。仮に裏口入学であっても、自分のポケットマネーで寄付金を積んで入学するならまだ良いと思うのです。
今回の事件は父親が文部官僚であり、文部省の補助金と引き換えに息子の裏口入学を認めたとされています。父親の「公務員」という立場を利用しての裏口入学であり、しかもお金の出処は公金です。私達の税金を不正に使って息子を裏口入学させたことになります。また東京医大側から見ても、本来は基準に達していないのに補助金を不正に受け取ったことになります。だから受託収賄罪に問われているのであって、裏口入学そのものの是非は問題の本質とは違うのです。
大学の不祥事というと、最近では日本大学アメフト部の悪質タックル問題がありました。しかしマスコミの追求は日大に厳しく、なぜか東京医大には甘い傾向があるように思えます。日大はあくまで部活動の指導上の問題ですが、東京医大は理事長・学長の判断で行われた受託収賄事件です。東京医大の理事長と学長は逃げるように早々に辞任してしまいましたが、事件の内容としては日大より東京医大の方がはるかに重大なはずです。悪質タックルに直接関与していない日大理事長の責任を追求する一方で、東京医大の前理事長・前学長の責任はそれほど追求されない。マスコミのこの姿勢もおかしなものだと思います。
