映画「FAKE」は、本物か偽物か
ドキュメンタリー作家として数々の問題作品を世に送り出している森達也監督による、２０１６年に劇場公開された15年ぶりの新作になっています。２０１４年の新垣隆と佐村河内守によるゴーストライター騒動のその後を追っています。
監督自らがカメラを持って佐村河内氏の自宅の中に入り込み、訪れるメディアの人たちの言葉や表情を独特のカメラワークで撮影していきます。２０１４年のあの熱狂はなんだったのかと考えさせられました。物事を正しいか間違っているのかのふたつで判断しようとする、マスコミの体質について鋭く疑問を投げかけていきます。たくさんの価値観や受け止め方があるからこそ、我々が生きている社会は豊かな世界と言えるのかもしれません。映画を見ている人たちは次第に監督自身も信じられなくなってしまうような、奇妙な感覚に陥っていくはずです。この映画が本物のドキュメンタリーなのか偽物のフィクションなのかは、ひとりひとりに判断して欲しいです。
