オー！ファーザー 伊坂幸太郎 （最後まで気が抜けない、ハラハラドキドキストーリー）
主人公の由紀夫にはなんと４人の父親がいる。ギャンブル好きの「鷹（たか）」、女好きの「葵（あおい）」、中学校の先生「勲（いさお）」、いつも冷静で的確な「悟（さとる）」のそれぞれ個性の違う４人である。なぜ４人の父親が存在することになったかというと、由紀夫の母親が、当時それぞれ４人と付き合っており、由紀夫ができた際に誰の子どもかわからなかったため、なりゆきで４人の交際相手と一緒に暮らすことになったという。
このかなり現実離れした設定に冒頭からのめりこんでいった。そしてこの物語は、由紀夫が行く所々で様々な事件に巻き込まれる。街で裏の権力を握っている賭博屋の「富田林（とんだばやし）」を取り巻く事件や、街の知事選にまつわる立候補者同士の蹴落としあいなど、中学生が直面する事件にしてはスケールが大きすぎて、ドキドキしながらも、一歩引いた目線でその事件の行く末を楽しんで読むことができた。そして、ピンチ！というところで、なぜか４人の父親が登場し、思いがけない方法で由紀夫を救ってくれたことも度肝を抜かれる面白さであった。由紀夫の勇敢さ、４人の父親の仲の良さ、チームワークの良さ、由紀夫を愛する気持ちが伝わってくる、家族っていいなと思えるストーリーであった。
ありがとう寄稿。
今回も、考えさせられる内容が多くて何度も読み返しました。いろんな問題を抱えた妊婦さんが登場するのですが、とくに今回心に残ったのは、一番最後のエピソードの「縁をつなぐ子」です。
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