映画「少女」に映し出す残酷な美しさ
２０１６年10月8日劇場公開された三島有紀子監督によるミステリーです。原作は湊かなえによるベストセラーで、小説の中に秘められているダークな世界観が見事にスクリーンの中で再現されていました。物語のふたりのヒロインに扮している本田翼と山本美月の、新鮮なイメージで息の合った演技が印象的でした。
物語のカギを握る教師小倉一樹役に人気お笑いコンビのアンジャッシュの児嶋一哉が抜てきされていて、情けなくも不思議な印象を与えていました。世間的にはお嬢様学校の影に込められている裏サイトや援助交際などの社会問題を浮かび上がらせていて、奇妙な味わいで忘れがたいストーリー展開になっています。少女期特有の残酷さと美しさの中にも、二度と戻ることのないかけがえのない時間の流れが隠されていました。それはかつては少女だったはずの監督や原作者から、今まさに青春の輝きを放とうとしている若い世代の人たちに向けたメッセージなのかもしれません。
