『武装解除』（伊勢崎賢治）：紛争屋の自伝
紛争屋を自称する伊勢崎賢治氏が自分自身の体験を語り、何となくで語られがちな紛争の実態を明らかにする異色の1冊です。国際NGOの実態や紛争という現場で何が求められるのか、少年兵という存在はどんなものなのか。紛争屋として紛争地域に入っていった筆者でしか語ることのできない実態は、何とも言えない後味を残すリアリティーなものとして感じられます。
また、本書の最後では紛争地域に自衛隊を派遣することがどのような意味合いを持つのかを明確に示し、自身の大学での講義の体験を踏まえて、理想論ではなく地に足を着いた自衛隊と憲法議論を展開しています。読者の思想はどうであれ、一読しておくべき部分だと思います。ただ、本書には欠点も少なくありません。まず、伊勢崎氏の個人的な体験を語る内容のため、この本だけを参考にして紛争やPKOなどを語るべきではありません。あくまで紛争に関わった人物の個人的な体験として読むのがいいでしょう。また、伊勢崎氏の幼少期や感想などがかなり挿入されているので、自慢話を聞いているような感じがするのも確かです。したがって、本書はあくまでも個人的体験・自伝の一種として読むことをおすすめします。
ありがとう寄稿。
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