ファウンダー -ハンバーガー帝国の秘密ー
一介のビジネスマンであるレイ・グロックが、マクドナルド兄妹の考えた画期的なビジネスモデルを知ることで、名前を含めてそのすべてを奪って自らの帝国を築いた物語です。そうするとどう考えてもレイのほうが悪者なのですが、このレイも完全な悪者でもないのです。
マクドナルドのチェーン店第一号店を開店した際には真摯に従業員の教育をしていますし、自ら店の掃除をこまめにしています。また、当初は上流階級にチェーン展開の話を持って行ったことで各店舗で好き勝手にされていたのですが、これを中流以下のこれから頑張りたい人に店をまかせることで、これからの幸せを手に入れる手伝いをしたとも言えます。一番の問題はレイの持つ異常なまでの上昇志向でしょう。すこしでも手を緩めればすべてを失いかのような脅迫概念とも思える考え方で、作中でも「おぼれている人間がいた口にホースを突っ込め」とまで言っています。そのあたりをもっと自粛できることができれば、皆が幸せになれる方法もあったのではないかと思うと複雑な気持ちになります。