チョコレートドーナツ(アラン・カミング主演)は、見終わった後表現できない感情が次から次へと溢れます。
この物語は一言で表現してしまえば、ゲイのカップルがダウン症の少年を救おうとする愛の話です。しかしそこにはゲイや障害を持つ人への差別、偏見、貧困、薬物依存、家族とは何か、など多くの問題が描かれています。ラストシーンは衝撃的で、悲しい。言葉を失いました。
しかし私が一番に感じたのは、この作品の始まりから終わりまで根底を流れ続ける大きな愛です。それはとても自然に静かにそこに存在してるのですが、圧倒されました。私たちは日常的に男女のラブストーリーや血の繋がった家族の物語を目にしていますが、私が今まで生きてきた中でどの作品にもこんなに確かな愛を感じた事はありません。この主人公たち2人の男性と、1人の少年は他の誰よりも確かに家族でした。ダウン症の少年・マルコの笑顔を見ているだけでその純粋さに涙が出るほどでした。
だからこそ、ただゲイという社会的マイノリティな存在であるだけで差別され、法律に従って引き離されいくことに深い憤りを感じました。私たちの誰が彼らを引き離す権利があるのだろうか。実の母親よりも家族として求めあっていて、静かにただ一緒に生きているだけの彼らを何故そっとしておいてあげられないのか。人間は何故自分たち多数派と異なる存在を排除したがるのか。憤るとともに、自分自身にも問いかけました。身近に同性愛者が居たとして彼らを全く好奇の目で見ずにいられるだろうか、と。
これは実話を基にした話だと後で知り、少しでも早く同性愛者に対する偏見や差別が減ることを強く祈りました。
またこの映画の大きな魅力の一つは主人公の歌声だと思います。アラン・カミングがこんなに歌が上手いなんて知りませんでした。私自身、特に洋画で急に歌を歌っているシーンになると不自然さを感じてしまう性質なのですが、この作品は違いました。歌一つ一つに感情が溢れていて、それもセリフの一つであるかのように心に響いてくるのです。最後の衝撃的な事実を知り悲しみの涙が溢れている間でも、アランの歌が未来への希望を感じさせるのです。確かな愛に溢れていた充実感を感じさせてくれるのです。
エンディングロールが流れている間ずっと悲しみ、憤り、感動、愛、様々な感情が混ざり合いながら襲ってきます。この主人公たちに出会えて良かった、この映画に出会えて良かった、そう思わせてくれる作品でした。
ありがとう寄稿。
バレリーナ、役者、演者、芸術家…そういった人々の、気持ちを表す仕事をしている人々の苦悩が、わかる映画です。
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この作品の最大の見所はラストシーンで、そのラストに至るまでに散りばめられた布石は見事というほかありません。
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