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感想・書評「斜陽:太宰治」ネタバレ注意・戦後間もないころ、没落した華族の破滅へと続く話(レビュー)。 #読書

斜陽 太宰治 破滅を迎えつつある家族の群像

戦後間もないころ、没落した華族の破滅へと続く話。
これを聞くだけだと、えらく暗い感じのする作品だが、どういうわけか暗闇ではない。かげぼうしが伸びて、闇が迫りつつある、そんな頃合いになおも輝く夕焼けが思い浮かぶ。
病に臥せり日々衰弱してゆく母とそれを看病する娘。娘は嫁ぎ先とうまくゆかずに実家に帰ってきている。父は故人で、弟は出征したきり。二人にはよるべもなく、田舎で見様見真似の自給生活を送ろうとするが、長続きするわけもなく。弟が帰ってきたはいいが、麻薬に侵され、まっとうな生き方ができない。母と弟の死に至るまでの破滅的な展開は、この家族の華族としての業、華族として生まれてしまったがゆえに生き方を束縛されてしまった悲壮が感じられる。
その一方で、物語の後半には、華族という枷から解き放たれた娘の姿がある。体面を気にする必要がなくなった女の、生に対する熱情が発露する。そして悲惨に沈んでいたこの物語を、その最後において、胎動する希望を予期するとまでは言えないのかもしれないが、明るく照らしているのだ。

ありがとう寄稿。

今までいろんな雑誌などで書かれたエッセイをまとめたものとのことでした。裏表紙のところに「エッセイは得意ではありません」と書いてありました。全くその通りでした。

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